Agave(アガベ)ってどんな植物

Agave (アガベ)という植物について紹介していきます。

テキーラやアガベシロップの原材料として耳にされたことがある方もいらっしゃるかと思います。

このページでは観賞用として選抜されたアガベの大きな魅力をお伝えします。

「そもそもアガベって何?」

植物科学(学)的にはキジカクシ科 リュウゼツラン属 の単子葉植物で、常緑の多年生植物です。

アメリカ南西部からメキシコ。中央アメリカ、コロンビアやベネズエラなどを原産地としています。
(原種の半分はメキシコを原生地としていると言われています)

水分を貯めておく事が出来る肉厚な葉が、ロゼット状(放射状)に中心から生長し展開しながら広がっていきます。

葉の先には鋭利な棘(とげ)があり、葉の縁にもノギや鋸歯(きょし)と呼ばれるノコギリのように連続したトゲが付いており、その色や長さ、力強さ、葉質や葉の形状などがアガべの中でも品種ごとに個体差があります。

世界中で栽培されており、品種を交配させたり、選抜を繰り返す事で年々新しい品種が生まれています。

「競走馬のように良血統を選抜したり交配させる」

ナーサリーと呼ばれる農園で、観賞用として育てられているアガベは、大量に育てられた株から色や型が良いものや、トゲ等の特徴が強く出たりしたものを選抜されていきます。

まるで走る速さを追い求めて交配されるサラブレッドのように、良型の血統を選抜しよりよい形の子孫を残したり、他品種との交配で新しい特徴のある株が生み出され、観賞用としての価値を作り出しています。

素晴らしい特徴が出た株は、見本となる個体とまで育てられ、胴切りや組織培養でクローンを増やされ、同様の特徴が出るまで育成された株が選抜個体として流通したりします。

「彫刻的な美しさは、部屋でも庭でも」

選び抜かれた株は葉数も多く球体状に育った個体が多く、上、横、斜め、どの角度から見栄えが良く存在感の強いものになります。

お部屋の中では鉢の種類や置き位置、庭への植え込みの位置や周りの装飾でまったく違った印象で飾ることが出来ます。

室内での育成や鑑賞に向いているのは小型か中型までのアガベで、americana等の大型のアガベですと人の身長を超えるサイズまで大きくなってしまいますので、庭や施設屋外での飾り付けで植えられる事が多いです。

立体的でお部屋やお庭の印象をがらりと変える事の出来る存在感があります。

「花が咲くのは一生に一度だけ」

長年大きく育てた株の中心が通常の展開や徒長(とちょう)とは違う形でぐんぐん伸び、とても珍しいエキゾチックな花を咲かせます。
品種によっては花が咲いた後に根元に仔株(こかぶ)と呼ばれる小さな分身が生えてきたり、咲いた花が受粉し種を残す事で遺伝子を残していきますが、花が咲いたら株そのものは枯れてしまいます。

” 一生に一度だけ ”  花を咲かせるのがアガベの特徴です。

サイズの大きい品種においては花の高さが10m以上まで伸びる品種もあり、育成の末での開花は大きなイベントとなっています。

他品種と交配するチャンスは、花が咲いている時期だけになりますので、交配させたい品種の花粉を持っている方と連絡を取り合い、自身で新しいハイブリッドのアガベを作り出す楽しみもあります。
(筆者もいずれ交配させたいと願いを抱えていますが、全く機会に恵まれておりません)

アガベの開花は一大イベントになりますので、是非周りの方々と楽しみましょう!

「自分の好きな品種を見つける」

一口にアガベと言っても200種以上の品種が存在していると言われており、表情や特徴も様々です。

2021年現在ではアガベの中で圧倒的に人気の高い品種がtitanota(チタノタ)またはoteroi(オテロイ)と呼ばれる品種になります。
titanotaだけでもかなりの品種があり、この品種にスポットを当てて育成やルーツの研究をされている方もいらっしゃる程です。

MUNUのBLOGでも少しづつではありますが品種ごとの特徴や写真をご紹介していけたらと思っています。

是非お気に入りの品種を見つけて収集や育成を楽しんで下さい。

「自分で育てる楽しみ・変化を見れる楽しみ」

多くの植物愛好家が、アガベだけでなくレアプランツ(希少植物)やビザールプランツ(珍奇植物)の育成を楽しんでいます。

日本の気候に合った管理方法や、ご自宅の環境に環境に合った育て方や土のブレンドを見つけ、狙い通りの形に育って葉を展開させる事が出来た時はある種の喜びがあります。

また光の当て方(当てる時間、遮光するかどうか)や水やり(頻度、あげる時間帯、量、活力剤や肥料を加えるか否か)、温度(室温を高めに保つか、自然の温度に任せるか)、殺虫・殺菌(虫害や病気を防ぐ為の定期的な薬剤噴霧を行うか)などの管理により成長を調整し、良型を保つ為の育成方法を模索する面白さがあります。

大きく育てる為では無く、形を崩さずに手に入れた時のカッコいい状態を維持する事に重きを置く方も少なくありません。

徒長させずに形を崩さず大きく育てるにはある程度の育成に対しての知識が必要になります。
お気軽に育ててみて下さいという値段の植物ではありませんので、株に対して向き合っていく楽しさをお伝え出来ればと考えています。

手をかけて可愛がっていくと、葉が大きく育ったり、棘が強くなったり、株の姿のバランスが良くなったりとその結果が形になって現れてきますので、面倒くさい手間も楽しくなっていく不思議さがあります。

もちろん手をかけるのは性に合わないという方もいらっしゃると思うので最低限の管理で育てっぱなしという方法もありますが、基本放っておけば枯れてしまうのが植物ですので、お持ちの株については出来るだけ愛情を注いでいただけたら幸いです。

MUNUのBLOGでは、育成方法についての指針について参考にして頂きたいことについても書いていきたいと思いますので是非そちらの記事もご覧ください。

「信用出来るお店を見つけよう」

多くの品種を収集するようになりますと、同じ品種でも形や特徴が違う個体を見かける機会が増えますが、自然交配により顔を変えている場合や、良血統の選抜株のものとそうでない株の差である場合が予測されます。

残念ながら現在の市場では、高値で販売する為か実際の品種とは異なった名称で販売してしまうケースや、実生株なのに参考株として親株を掲示しているケースも目にします。
(実生の株は遺伝子が親株とは異なる為、親の特徴を必ずしも引き継げない為、このように育つと親株を掲示するのはやや無責任な提案の仕方だと考えています。もちろん親よりも良くなるケースもありますが、一か八かの提案を高額で行うのは買い手のリスクが大きすぎます。)

こういったトラブルを招かない為にも、信頼のおけるお店や相手からのご購入をお勧めします。

特にコレクターの方にとっては、良血統である事が重要な要素の一つと言えますので、目利きが出来る方以外は安いからといって飛びつかない事が大事です。

輸入者の方はナーサリーから正しき品種名を聞いて購入されていますので、余程の悪意が無い限りは正しき品種でエンドユーザーの方に渡っていると思います。

自分で輸入を行なっていない販売者の中でも品種を間違って表示しているケース稀にがあります。
品種について明確に返答が出来ない販売者さんは知識が無く別の品種で告知してしまうケースがある事や、他社さんの画像を流用されている方は転売や虚偽の可能性が高く株購入は危険だと考えています。

子株においては、余程の目利きが出来る方以外まず同じ品種かの判断は出来ません。

オークションで希少な品種の株を出品されている方が、別の品種の子株を発送していた事が判明し炎上してしまう事稀にを見かけます。

まだ市場全体の品種知識が十分では無い事が要因の1つかと思いますが、希少な品種が安く販売されている株には基本何かしらの理由があるものだと思ってください。
希少な品種の子株(カキ仔)であると書いている場合は、親株から外す前の画像や、本人の所有株であるかなど確認を取ってからの購入でないとリスクが高い事を知っておいて頂きたいです。

皆様が良い株とのご縁に恵まれますよう、信頼のおける購入相手を見つけていってください。

トラブル無く健やかに園芸を楽しめる事を心より願っています。